〜2025年注目を集めた冤罪事件の代理人、高田剛弁護士がグランプリを受賞〜
弁護士ドットコム株式会社(東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO・弁護士:元榮 太一郎、以下:当社)は、企業・社会変革を担う企業法務弁護士にスポットライトをあてた新たな表彰プログラム「BUSINESS LAWYERS AWARD 2025」を開催し、グランプリ、審査委員会特別賞を含む合計10部門の受賞者が決定したことをお知らせします。

■受賞者一覧 ※五十音順
<グランプリ・注目裁判>
高田 剛氏(弁護士 / 和田倉門法律事務所)
▼受賞理由
企業法務を専門としながらも、大川原化工機冤罪事件の代理人として警察・検察と対峙。国家賠償訴訟では、逮捕から起訴に至る捜査全体が違法であったとの判決を勝ち取った。メディア等を通じて「人質司法」の問題を社会に広く問いかけ、裁判所の保釈運用や報道のあり方にまで具体的な変化をもたらした。一企業の訴訟から日本の刑事司法が抱える構造的問題を浮き彫りにしたその功績は、社会に大きな一石を投じるものといえ、グランプリとして表彰するに値する。
テーマ部門
<情報発信>
・倉重 公太朗氏(弁護士 / KKM法律事務所)
▼受賞理由
経営者側の労働法弁護士の立場から、法律論にとどまらないオピニオンを発信し続ける稀有な存在。Yahoo!ニュースでは370本を超える記事を執筆し、解雇規制など国の政策にまで踏み込んだ提言も行う。また、日本人材マネジメント協会副理事長として数多くの研究会を主導し、人事担当者や研究者との対話を通じて知見を社会に還元。企業法務の枠を越えて影響力を行使するその活動は、情報発信の新たなモデルを示している。
・幅野 直人氏(弁護士 / かなめ総合法律事務所)
▼受賞理由
弁護士5年目で企業法務に転身した自身の苦労を原動力に、「過去の自分のような人の役に立ちたい」との想いで情報発信を続けている。入門者向けに自ら企画・執筆した『企業法務1年目の教科書』は、法務担当者が選ぶ書籍ランキングで1位を獲得するなど絶大な支持を得た。専門性の高い情報だけでなく、実務の土台となる知識の共有を実践し、日本の企業法務全体の底上げに貢献している。
・松尾 剛行氏(弁護士 / 桃尾・松尾・難波法律事務所)
▼受賞理由
ChatGPTが登場すると即座に解説書を出版するなど、圧倒的な速さで最新情報を発信し続けている。判例のない新たな法領域において、いち早く論点を整理・提示するその手腕は、オピニオンリーダーと評されるに相応しい。生成AIから中国法、キャリア論に至るまでその発信は常に時代の先端を行く。また、一般社団法人AIリーガルテック協会の代表理事として新分野の企業を後押しするなど、実務家を導く功績は計り知れない。
<ガバナンス改革>
・市川 佐知子氏(弁護士 / 田辺総合法律事務所)
▼受賞理由
公益社団法人会社役員育成機構は、「社内・社外を問わず、すべての取締役がガバナンスに関わる知識・スキル・マインドセットを体得するための実効的な研修プログラムを提供し、企業の競争力強化とサステナビリティ及び日本経済の発展・進化に貢献する」ことをミッションとしている。同氏は、2009年の設立当初より同機構に参画し、役員研修プログラムの講師として中心的役割を担ってきた。これまでに3,900人を超える取締役及びその候補者、ガバナンスのキャリアを志向する者が受講している。
・越 直美氏(弁護士 / OnBoard株式会社代表取締役 CEO / 三浦法律事務所)
▼受賞理由
大津市長として行政の透明化などを断行後、弁護士・起業家としてガバナンス改革の最前線に立っている。企業のダイバーシティを「成長戦略」と位置づけ、女性役員の育成・紹介を行う「OnBoard株式会社」を自ら設立。単なる提言に留まらず、人材育成という事業を通じて課題解決を実践するその手法は、日本のコーポレートガバナンスに新たな道を示した。法律家、元首長、そして起業家という多角的な視点で改革を牽引する存在として、今後ますますの活躍が期待される。
・深水 大輔氏(弁護士 / 長島・大野・常松法律事務所)
▼受賞理由
ガバナンスや組織風土の問題に対し、経済学、経営学、心理学等の知見を活用した科学的アプローチを開拓している。データに基づくリスク分析や効果検証を実施し、企業の意思決定に新たな視点を提供している。このアプローチによって、日本企業がコンプライアンス、ガバナンスをもう一段進化させることに貢献することが期待される。その中心的役割を担う存在として評価できる。
<ビジネスと人権>
・蔵元 左近氏(弁護士 / 蔵元国際法律事務所)
▼受賞理由
早くから日本の「ビジネスと人権」分野を牽引してきた第一人者。代表理事を務める一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)では、人権侵害の是正・改善を図る「グリーバンスメカニズム」を導入し、大手企業80社以上が参加する社会的な仕組みを構築した。個社の問題解決に留まらず、社会全体の仕組みを推進するそのリーダーシップは「社会変革」といえる。また、企業向けの「対話救済ガイドライン」の策定、旧ジャニーズ事務所の被害者支援、東京オリンピックでの通報窓口助言委員長など、活動は多岐にわたり、その功績は極めて大きい。
・佐藤 暁子氏(弁護士 / ことのは総合法律事務所)
▼受賞理由
「現場を知らずして制度は語れない」との信念に基づき、カンボジアでの講師経験やNGO活動を通じて得た豊富な知見をいかして活動している。日本政府初となる「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会」の委員としてルール形成に貢献。現在は国連開発計画(UNDP)のリエゾンオフィサーとして、日本企業の人権デュー・ディリジェンス促進に取り組んでいる。現場の視点を国内外の制度設計や対話促進に繋げる一貫した活動は、高く評価されるべきものである。
<プロボノ・社会貢献>
・上沼 紫野氏(弁護士 / LM虎ノ門南法律事務所)
▼受賞理由
子どもとインターネットの問題をライフワークとし、その健全な関係性の構築に長年尽力してきた。単なる利用制限ではなく、リテラシー向上を重視するアプローチを提唱している。理事を務める安心ネットづくり促進協議会では、官民連携を推進し、子どもたちがICTを使いこなすための環境整備を主導した。この重要テーマに真摯に向き合い続けるその功績は、社会貢献の真髄を示すものである。
・鬼澤 秀昌氏(弁護士 / おにざわ法律事務所)
▼受賞理由
学生時代から抱いてきた社会課題解決への強い意志は、司法修習を遅らせて教育NPOで活動した経歴にも表れている。その志は、ビジネス弁護士がプロボノ活動を行うためのプラットフォーム「BLP-Network」の創設と運営に結実した。個人の活動に留まらず、多くの同業者を巻き込むスケールの大きい取り組みとして高く評価できる。ソーシャルセクター全体の支援基盤を構築したその実績は、社会貢献の新たなモデルを示している。
<スタートアップ支援>
・落合 孝文氏(弁護士 / 渥美坂井法律事務所)
▼受賞理由
スタートアップが活躍しやすい社会の実現を目指し、ルール形成の最前線で活動している。内閣府の規制改革推進会議ではスタートアップ・投資WG座長として規制改革を主導。自身が所長を務めるプロトタイプ政策研究所を拠点に、官民の橋渡し役を担い、政策提言を継続的に実施している。国の制度設計から起業家への直接支援まで、エコシステム全体の発展に貢献する功績は大きく、今後の活躍も大いに期待される。
・柿沼 太一氏(弁護士 / STORIA法律事務所)
▼受賞理由
関西におけるスタートアップ支援の草分けとして専門事務所を設立し、この分野を牽引してきた。弁護士資格に加え中小企業診断士の資格も有し、法務とビジネス両面から支援する独自のスタイルを確立。特にAI・データ法務に精通し、多くのテック系スタートアップを成長に導いている。また、国のルール形成にも関与し、スタートアップが活躍しやすい環境整備に貢献した点も高く評価できる。
・増島 雅和氏(弁護士 / 森・濱田松本法律事務所)
▼受賞理由
情報発信を通じて、起業家と投資家の知識ギャップ解消に尽力してきた。その豊富な現場知見を活かし、内閣府の検討会で座長を務めるなど、国のスタートアップ支援政策に深く関与している。のちに著名な企業となるマネーフォワードやGunosyなど、多数のスタートアップを支援。「IP BASE AWARD」ではスタートアップ支援者部門グランプリを受賞するなど、客観的な評価も受けている。実務と政策の両面からエコシステム構築を牽引する功績は大きい。
<起業>
・岩原 将文氏(弁護士 / 岩原法律事務所)
▼受賞理由
AIの技術的知見、ビジネス経験、知財法務という3つの専門性を融合させ、株式会社IP-RoBoを創業。弁護士として感じていた課題を解決すべく、AI商標調査アシストシステム「TM-RoBo」を自ら開発。このサービスは専門家の調査業務を効率化し、日本の知財エコシステムの発展に貢献している。ドメインエキスパートとして技術開発を主導し、知財実務の未来を切り拓くその取り組みは高く評価される。
・森 理俊氏(弁護士 / S&W国際法律事務所)
▼受賞理由
自らリーガルテック企業AtoJを創業し、オンライン紛争解決(ODR)サービス「OneNegotiation」を開発。法務大臣認証のもと、誰もが安価で利用しやすい社会インフラとして実装した。少額の金銭トラブルで多くの人が泣き寝入りしてきた課題に対し、テクノロジーで「司法へのアクセス」を拓こうとする取り組みは高く評価できる。弁護士としての深い知見を社会課題の解決に繋げた功績は、起業家精神の体現といえる。
・渡邊 弘氏(弁護士 / 西村あさひ法律事務所)
▼受賞理由
大手法律事務所でのM&A実務の経験から、法務文書作成の非効率性に着目。自らの課題意識を基に、2021年にリーガルテック企業BoostDraft(ブーストドラフト)を共同創業した。開発したサービスは、表記揺れや参照条文の確認といった反復作業を自動化し、法務実務のDXを推進している。五大法律事務所のすべてに導入されるなど、日本のリーガル最前線を支えるインフラとなっており、今後のさらなる発展が期待される。
<次世代選抜>
・岩間 郁乃氏(弁護士 / 森・濱田松本法律事務所)
▼受賞理由
経済産業省で約5年にわたり、フィンテックなどの新事業を後押しする「グレーゾーン解消制度」や「規制のサンドボックス制度」の企画・運営に携わり、国のイノベーション政策を内側から支えた経験を持つ。現在は「スタートアップ向けの公共政策法務」という新分野の創出に取り組んでいる。行政の肌感覚を深く理解した上で、ステークホルダーと真摯に対話しルールを形成するその姿勢は、現代の政策形成を体現している。官民を架橋する次代のリーダーとして、将来が嘱望される。
・皿谷 将氏(弁護士 / 株式会社バトンズ)
▼受賞理由
税理士である父の急逝で事業承継問題に直面した自身の経験を原点に、中小企業支援に尽力。法律事務所を経て中小企業庁に出向し、「中小M&Aガイドライン」の策定など、国の支援策立案を牽引した。現在は日本最大級のM&Aプラットフォーム「バトンズ」の執行役員を務めている。実務、政策、そして事業という3つの立場から中小M&Aの変革を担っており、インハウスロイヤーとしての活動に大きな期待が寄せられる。
・鈴木(田代) 夕貴氏(国連人権高等弁務官事務所)
▼受賞理由
ロースクール在学中から一貫して難民支援に強い情熱を注ぎ、その信念をキャリアを通じて体現している。大手法律事務所で企業法務に従事する傍ら、プロボノ活動として庇護申請者の聞き取りや陳述書作成などを精力的に支援。企業による人権尊重責任の重要性を説き、その実践を重ねた後、国連人権高等弁務官事務所へと舞台を移した。国際機関でのキャリアを通じて、社会貢献の理想的な姿を今後も国内外に示し続けてくれることが期待される。
・田浦 一氏(弁護士 / OLD NEW THINGS法律事務所)
▼受賞理由
ヤフーでのインハウス経験を原点に、大手法律事務所、米国留学を経て、2025年にイノベーション法務に特化した事務所を設立。多様な経歴を活かし、AIやメタバースなど最先端領域のデータ法務を専門としている。個人情報保護委員会の調査業務を担うなど、国のルールメイキングにも関与。また、日本組織内弁護士協会の理事として後進の育成にも尽力している。法務の新たなフロンティアを切り拓く次世代の旗手として、大きな期待が寄せられる。
<審査委員会特別賞>
・山中 理司氏(弁護士 / 林弘法律事務所)
▼受賞理由
弁護士活動の傍ら、裁判所及び行政機関に対して様々な文書の情報公開請求を長年にわたって粘り強く続けている。大量の文書を取得し、これらをブログで広く公表し続けることで、市民に有益な情報を提供している。その結果、個別の事件解決にとどまらず、裁判所及び行政機関の透明性確保に貢献。裁判所及び行政機関の内部のマニュアルを開示させるなど、その知見を依頼者の権利擁護に直結させている。裁判所及び行政機関の開示文書に関するアーカイブともいえるブログは、企業法務にも重宝されており、地道な実践を通じて弁護士の社会的使命を体現するその姿勢は、特筆に値する。
■「BUSINESS LAWYERS AWARD 2025」概要
特設サイト: https://business-lawyers-award.jp/
【開催背景】
現代の企業活動は多様化・複雑化の一途をたどり、ガバナンスや人権、サステナビリティへの対応が不可欠となっています。このような環境の中、弁護士は単なる紛争解決や契約業務にとどまらず、企業や社会の変革に深く関わる存在として、その役割を拡大しています。
これまで、弁護士の社会やビジネスの変革に寄与する活動に対しては、各専門分野における個別の評価こそあったものの、こうした貢献に特化して顕彰される機会は必ずしも多くありませんでした。
「BUSINESS LAWYERS AWARD 2025」は、弁護士一人ひとりの努力と、企業・社会変革に貢献する活動に敬意を表すとともに、未来を切り拓く企業法務弁護士の新しい姿を社会に広く発信することを目的としています。
【審査方法】
各カテゴリーの選考プロセスは、まず弁護士、企業法務担当者、メディア関係者からのアンケートにより候補者を募り、その後アンケート結果をもとにノミネート者を選出。最終的に審査委員による審査会を経て、各部門1名から3名の受賞者を決定。さらに、各部門の中から特に顕著な活動を行った弁護士1名を「グランプリ」として選出しました。
【審査体制】
審査委員長には、コーポレートガバナンスや企業法務の第一人者である久保利英明弁護士を迎え、実績が豊富な弁護士や企業法務、メディア編集長など計7名が審査委員として参加。専門性と多角的視点を兼ね備えた審査体制により、公平かつ社会的意義のある選考を実施しました。
「BUSINESS LAWYERS AWARD 2025」審査委員会
・審査委員長
久保利 英明(弁護士)
・審査委員 ※五十音順
伊藤 ゆみ子(弁護士、元シャープ株式会社取締役・常務執行役員)
太田 勝造(明治大学教授、東京大学名誉教授、弁護士)
大野 顕司(住友化学株式会社取締役)
中本 和洋(弁護士、元日本弁護士連合会会長)
宮崎 裕子(弁護士、元最高裁判所判事)
山田 俊浩(東洋経済総編集長)
◆弁護士ドットコム株式会社について: https://www.bengo4.com/corporate/
本社:東京都港区六本木四丁目1番4号 黒崎ビル
設立日:2005年7月4日
資本金:545百万円(2025年6月現在)
代表者: 代表取締役社長 兼 CEO・弁護士 元榮 太一郎
上場市場:東京証券取引所グロース市場
事業内容:「プロフェッショナル・テックで、次の常識をつくる。」をミッションとして、人々と専門家をつなぐポータルサイト「弁護士ドットコム」「税理士ドットコム」「BUSINESS LAWYERS」、契約マネジメントプラットフォーム「クラウドサイン」を提供